レポート|11/5(火)「アート×投資家×DE&I」クロスオーバーミーティング -投資家からみたDE&I-

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2024年11月5日、京都大学にて『「アート×投資家×DE&I」クロスオーバーミーティング -投資家からみたDE&I-』が開催されました。

今回はテーマスピーカーとして「投資家」の方々や、自身で事業を始めている経営管理大学院の学生にご参加いただき、投資家の目線からみたDE&Iについて、対話が行われました。以下に当日の様子を報告いたします。

<登壇者>
・蓮行(経営管理大学院 特定准教授)
・髙部 祥史 氏(オムロンベンチャーズ株式会社 代表取締役社長)
・小茂鳥 雅史 氏(株式会社We& 代表取締役)
・矢口 貴久 氏(株式会社We& 取締役COO)

また、経営管理大学院の学生であり哲学コミュニケーターでもある大角康さんに、ファーストスピーカーとしてご参加いただきました。

<進行>
13:15-13:25 冒頭の案内
12:25-13:55 クロスオーバーミーティング
       1)少人数グループでの対談
       2)全体での対話
14:35-14:45 まとめ

まず冒頭で蓮行先生より、クロスオーバーミーティングについてのお話がありました。クロスオーバーミーティングとは、通常のイベントでは実施テーマに関連する近しい領域の人たちだけが集まりがちな中で、意図的に異なる3ジャンル以上の領域の人たちを集めることで、個々の既存の認知限界を超えた集合知を生成することを目的とした、全員参加型のコミュニケーション手法。そのためこのイベントによって有用な理論構築をするというよりは、議論の拡散によって偶発的な知の共創を促していくことに価値があるということでした。

写真:大角康さん(京都大学経営管理大学院M1/哲学コミュニケーター)

そこで、ファーストスピーカーとして経営管理大学院の学生の大角さんから、投資をされる対象として、ご自身の哲学ワークショップ事業について話題提供をいただきました。南禅寺禅センター(光雲寺)での坐禅指導のご経験がある大角さんは、「仲間とともに人生の探究を楽しむこと」を主眼とした哲学ワークショップ事業を通じて、哲学の民主化、実学化、エンタメ化の三つを進めることを目的にご活動されており、単なるフレームワークではなく、思考整理やその明文化のための武器としての哲学を提供することで、哲学の面白さを伝えるとともに、人々のさまざまな問題解決に寄与していきたいというお話でした。

写真:小茂鳥雅史様(株式会社We& 代表取締役)、矢口貴久様(株式会社We& 取締役COO)

次に、株式会社We&代表取締役の小茂鳥様と矢口様より、事業のご紹介をいただきました。株式会社We&は、「仲間と共に無限の可能性を追求する航海を続ける」をテーマに2014年に設立され、今年で設立10周年を迎える企業です。これまでに10社21事業と、様々なビジネスを育ててきた結果、現在はベンチャーキャピタルとしてもご活躍されています。
また、「日本で一番ビジョナリーカンパニーを輩出できる基盤をつくる」を目指し、起業家同士が活発に語り合える起業家コミュニティを形成する一方で、社員の多様性や個性を重視したビジョンファーストカルチャーを推進しているとのことでした。採用の軸を「ビジョンへの共感」に絞ることで、国籍、学歴、経歴の多様な人材が集まっているそうです。
そのため、すでに多様性を取り入れた経営を実践している中で、公に改めてDE&Iを推進する宣言をすべきかどうかは悩ましいとのお話もありました。また、マネージャー層にエクイティの考え方を浸透させるために、DE&Iにおける大企業の取り組みについても知見を得たいとおっしゃっていました。

写真:髙部祥史様(オムロンベンチャーズ株式会社 代表取締役社長)

最後に、オムロンベンチャーズ株式会社 代表取締役社長の髙部様より、事業のご紹介をいただきました。オムロンベンチャーズは社会に役立つ技術を次々と生み出してきたオムロン株式会社のコーポレートベンチャーキャピタルです。同社は、オムロンが目指すカーボンニュートラルの実現、デジタル化社会の実現、健康寿命の延伸の3分野を中心に幅広く出資を行っており、その約半分がスタートアップへの直接投資、残りがファンドなどへの出資で、海外企業への出資も数多く経験されているとのことでした。
オムロンベンチャーズの目的のひとつは、親会社であるオムロン株式会社の既存事業を拡大するため、事業シナジーの高いスタートアップに出資し、その会社との将来的な共創・協業を構築することです。そのため、出資先を選定する際には、ソリューションとしてのバリュープロモーションをどう進めていくかという事業の戦略マップをしっかりと検討しているそうです。

3組のご紹介が終わったあと、蓮行先生も含めたスピーカーの方を中心とする会場でのディスカッションが行われました。それぞれの事業の詳細や、本日のお題である投資におけるDE&Iの基準やテーマ、従業員のダイバーシティの観点など様々な観点からの関心が寄せられました。

後半は、ゲストスピーカーも会場の出席者も一緒になった、全員でのグループディスカッションを行いました。トランプでランダムに分けられた4人ずつのチームで、今回の「投資家からみたDE&I」のテーマに関する質問を一つ考えるという時間を取りました。皆さん、5分間という短い時間ではあったものの、前半での話題を受けて非常に活発な議論をされていました。

写真:トランプを使ってランダムにグループ分けを行う
写真:ディスカッションの様子
写真:ディスカッションの様子
写真:ディスカッションの様子

最後に、ランダムに数名の方から質問をシェアしていただきました。M&Aに関する話、外国人投資家への情報提供の話、ダイバーシティのある組織体の作り方に関する質問などが出ました。

最後に、蓮行先生より「ゲストスピーカーの企業同士でもそれぞれ組織体やアプローチ方法が異なるので、DE&Iを踏まえた採用や制度など、投資企業における課題や展望において「へえ!」とお互いに思えるのは集合知としてよかった。これらを活かして会場全体で有益な議論ができたことで、明日から認知限界を乗り越えられる、誰一人取り残さないというコンセプトに沿った良いイベントになったと思います。ありがとうございました。」という内容のコメントがありました。

以上、『「アート×投資家×DE&I」クロスオーバーミーティング -投資家からみたDE&I-』の報告でした。参加者の皆様、および関係者の皆様に心より感謝申し上げます。